シェヘラザードに捧げる物語




 彼女と両思いになった次の日に、彼女の母親が家に来たんだものね。

 ……いや、他人事みたいに言ってる場合じゃない。


「お母さん、うちにわざわざ来るなんてどうしたの?」


 理由を聞いたらすぐに帰ってもらおう。絶対に。

 そう決めてお母さんの目をまっすぐ見つめる。


「アンタの職業選択についてよ」


 ……ごめん誠太郎くん、すぐは無理そう。

 心の中で彼に手を合わせると、二人分の朝食が並んだダイニングテーブルにつくようお母さんと誠太郎くんを促した。


「ご飯食べてからにするね、二人ともそれでいい?」

「……俺は帰ったほうがいいんじゃないの?」

「いいえ、ぜひ居てください」


 居心地の悪そうな誠太郎くんに、お母さんはきっぱりと言い切った。

 どういうつもりだろう。


「お母さん、誠太郎くんは別に関係ないでしょ」

「あるわよ」


 お母さんは私たちを交互に見やると微笑んだ。


「大賀さんとこにお嫁にいって、仕事を辞めてもらうつもりだもの」