シェヘラザードに捧げる物語




 二人で簡単な食事を作る。

 目玉焼きに焼き目のついたウインナー、そこにちぎったレタスを添えて出来上がり。

 誠太郎くんは食パンを焼いて、バターとジャムを準備してくれた。

 さっきとは違って火を使うから、後ろから抱きしめてイチャつく……なんてできなかったけど。


「パン何枚?」

「一枚で」

「わかった、バターとジャム出しとく」


 新婚みたいなやり取りに心がむず痒くなる。


「コーヒーも淹れとく?」

「うん、お願い」


 フライパンから目を離さずに応える。

 使うのが久しぶりすぎて、集中しておかないと目玉焼きをすぐに焦がしてしまいそう。

 いつもなら、休日の朝はコーヒーだけとかスープだけですましてしまうことがほとんどだからなおさらだ。



 ──ピンポーン!



 チャイムの音と油が跳ねて腕に当たるのとが同時で、うっかりフライパンをガタッと傾けてしまった。


「大丈夫?」

「うん、平気」