シェヘラザードに捧げる物語




 そんなことを考えながら買い物に行って、よく事故に遭わなかったなと思う。

 スーパーの袋の重みを感じながら、玄関ドアを開ける。

 結局私の幻覚だったから、誠太郎くんはいなくなってました……ということはなく、彼は玄関まで出迎えに来てくれた。


「おかえり、怪我はしなかった? 変なやつに絡まれたりとかは?」

「心配しすぎ!」


 どっちもなかったよ、と苦笑と一緒に伝える。


「何が起こるかわからないし、怪我をさせられたばかりだろう?」

「畑宮さんのは四ヶ月前のことだし、大丈夫だってば」


 甘いだけじゃなくて過保護だ、この人。

 このままだと下手をしたら、彼の家に監禁されてしまうんじゃないだろうか。

 やたら災難に見舞われるせいか、恐ろしい想像が頭の中を駆け巡る。


「洗い物は終わったから一緒に作ろう」


 だけどご機嫌な大賀くんの姿に、想像はいとも簡単にかき消えてしまった。