シェヘラザードに捧げる物語




「終わりました」


 大賀くんがなにか言う前にドアが開いた。

 畑宮さんと君塚さんのお父さんが、疲れ切った顔をのぞかせる。


「あ、えっと……」


 誰かがそう言ったきり沈黙が続いた。

 ……気まずい。気まずすぎて誰も声を上げられない。

 だけどこのままじっとしているわけにも……。


「今日はもう解散しませんか?」


 大賀くんがそう提案すると、それが合図かのように畑宮さんと君塚さんのお父さんが頭を下げた。

 決して小柄ではないのに、なぜだかひどく小さく見える。


「息子が、取り返しのつかないことをいたしました」

「披露宴をめちゃくちゃにした責任は、必ず」


 はっきりした声だった。


「……お二人とも、顔を上げてください」


 原嶋さんが静かに促す。

 その声からはどんな感情も聞き取れない。


「私は君塚にだけ責任を求めるつもりです」

「あいつは親戚の工場で働かせて、必ず賠償させますし二十四時間監視します」