シェヘラザードに捧げる物語




 朝のニュースを見ていたら、スマホが鳴った。

 川島さんからだ。


「はい、柴田です」

『柴田さん、無事ですか? 変なことは起きてませんか?』


 変なことなら起こりまくっているけど……。


「いいえ。なにもありませんけど、どうしました?」


 伝えるのもどうかと思って、当たり障りのない返事をさせてもらった。

 川島さんは『よかったです』と泣きそうな声で私の無事を喜んでいる。これはなにかあったな。


「なにがあったんですか?」

『その、君塚さんが先ほどいらっしゃって……』


 嫌な汗が背中を流れた。


「……私のことを言っていたんですね?」

『そうです。柴田さんを出せって』

「理由は披露宴のあれですね?」

『はい。あの……めちゃくちゃになったのは彼女を入れたせいで、そのせいで原嶋さんとも会えなくて、父親が心労で入院したと……』

「そうでしたか……」


 頭痛がしてこめかみを揉んだ。