シェヘラザードに捧げる物語




 送ってから不安になる。

 一分一秒が永遠に思える中、画面はメッセージの着信を知らせた。


〈そうか〉

〈それならこの前の昼に会ったときに色々聞いてきたのはどういうことなんだ〉


 もんどりうってひっくり返りそうになった。

 そうだ。大賀くんとご飯食べてるときに照屋さんが突撃してきて……仕事のことを聞いて、原嶋さんのいとこだって思い出して。



 やってしまった。



 どうやってごまかそう。



 焦りながら指を動かす。


〈詐欺じゃないか不安になって〉

〈よく聞くから。実は既婚者なのに女の子騙す人がいるとか、仕事や顔や経歴で嘘つくとか〉

〈だからなにも知らない振りして聞いたの〉

〈私からもちょっと聞きたいんだけどいい?〉


 信じてくれますように。

 それだけを祈って送信ボタンを押した。


〈アプリの詐欺か、聞いたことあるよ〉

〈照屋を信じてもらえてなにより〉

〈聞きたいことって?〉