シェヘラザードに捧げる物語




 本物のカップルみたいだった。


「あいつミネラルショーなんて行くんだ……」


 ぼんやりとコーヒーをすする照屋さんに相づちを打つでもなく、ただ耳を傾ける。


 楽しそうに質問する原嶋さん。


 嬉しそうに話を広げる大賀くん。


 私はグイッとコーヒーを飲み干した。

 マナーもなにもあったもんじゃない、俗な振る舞いに照屋さんが目を剥いていたけど素知らぬ顔でハンカチを口元に当てた。


「そろそろ帰りましょうか」

「えっ」

「重要なことを聞けたんですから、もう十分でしょう」


 唐突な提案に、照屋さんはなんとも言えない気まずそうな表情を浮かべた。


「このままミネラルショーについての講義を聞くつもりですか?」


 私がたたみかけると、照屋はいったん彼らの席にチラリと視線を送ってから渋々同意した。


「わかりました。では報告はそれぞれ行うということでいいですか?」

「そうしましょう」