シェヘラザードに捧げる物語




 そのまま向こうは会話もなかったけれど、私たちが牛肉、向こうがデザートを食べているときにそれは起こった。


「あの二人は付き合ってないです」


 ……今度は私がナイフを落としそうになった。


「秀樹のあの様子は嘘をついているときのです」


 思わず照屋さんに目を向けると、固まってしまっている。

 私も動けずに、二人の会話が聞こえてくるのに任せるしかなかった。


「じゃあ、どうしてあんな嘘を?」

「それは……わかりません」


 やっぱりその場しのぎの嘘はすぐバレるか……。


「秀樹がどうしてここに来たのかはわかります」


 照屋さんのナイフとフォークを握る手に力が入った。


「……両親に頼まれたんじゃないかと」

「見張りということですか?」

「ええ。私たちの様子を観察して、報告してくれと言われているんだと思います」

「うーん、そこまでするかな……」


 これは……盗聴してるのは、気づかれてない……?