シェヘラザードに捧げる物語




 つっかれた……。


 化粧も落とさず、ドレスも脱がずにベッドに寝転がること約十分。

 寝てしまいそうになるのを、いい加減起きなきゃシワになってしまうと意地で起き上がる。

 ドレスを脱いでバスルームに向かい、シャワーのコックを捻った。


 上手く騙せたかな……。


 嫌な予感は的中して、あの二人に気づかれてしまった。

 あーもう、どうして照屋さん、フォーク落としちゃうんだよ……。

 内心では頭をかきむしりながら、この場をどう切り抜けるかをとっさに考えて、出てきた言葉があれだ。



 ──私たち付き合ってるの



 大賀くんは目を少し見開いて、固まってしまった。

 そんな顔初めて見た。大賀くんの驚く顔ってレアだね。

 
 今になって現実逃避じみた思考をしてしまうけれど、あのときはそれどころじゃなかった。

 バレないように、いかに二人を遠ざけるか。

 それだけを考えて、出た答えがこれだ。


 ──そろそろ席に戻ったほうがいいんじゃない?