シェヘラザードに捧げる物語




 誰目線だよ、とツッコミが入りそうな感想を抱いた。実際、高校のころよりも厳めしさが増している気がする。黒いベリーショートと、その下にある狼のような瞳がそう思わせるのだろうか。

 対して私は、卵型の顔に大きくも小さくもない目や鼻がくっついている。薄くぼやけた印象しか与えない顔立ちだ。


 だから、大賀くんに惹かれたのかもしれない。

 私とは正反対で、会う人に強い印象を与える顔つき。

 それが“近寄り難い”という負の印象であっても。


「ご協力くださり、ありがとうございました」


 入力が終わったらしい大賀くんは、軽く頭を下げた。私も同じように頭を下げて、「お疲れ様です」と静かに返した。


「またお話を伺うことになるかもしれませんので、こちら……名刺をどうぞ」


 大賀くんはそういうと、スーツのポケットから銀の名刺入れを取り出した。私も合わせるように、ポケットから名刺入れを持ち出す。