シェヘラザードに捧げる物語




「じゃあ、どうしてあんな嘘を?」

「それは……わかりません」


 原嶋さんはうつむいてしまった。確かに意味がわからない。

 そもそも接点自体が薄いのに、どうして交際まで発展したんだ?

 柴田はあの披露宴を担当したウエディングプランナーで、照屋は客の一人で俺に原嶋さんを助けてくれと頼んできた。

 二人から互いの話題が出たことはない。

 あれか? 柴田とレストランに行ったときのか?


「秀樹がどうしてここに来たのかはわかります」


 なんとなくですが、と視線を皿に落とした彼女に続きを促す。


「……両親に頼まれたんじゃないかと」

「見張りということですか?」

「ええ。私たちの様子を観察して、報告してくれと言われているんだと思います」

「うーん、そこまでするかな……」


 俺は腕を組んで首をひねった。

 娘を守るためとはいえ軟禁し、連絡手段を取り上げ、俺を当てがおうとしているとはいえ、いくらなんでも……。