シェヘラザードに捧げる物語




 今朝、原嶋さんのお母さんからのメールに書かれていた。


〈美咲には特殊なネックレスをつけさせてあります。照屋からイヤホンをもらって、会話の内容を確認してください〉


 つまり、原嶋さんには集音機能のあるネックレスをつけさせてるからイヤホンを使って盗聴しろ──ということだ。

 ……正直すごく気が引ける。

 気が引けるどころか犯罪に加担しているのと同じだ。


「いいのかな、こんなこと」


 反射的に顔を上げると、照屋さんが手のひらに乗せたイヤホンをじっと見つめていた。


「バレなければいいって話じゃないのに……」

「あの」


 思わず声をかけると、照屋さんが弾かれたように私と視線を合わせた。


「照屋さんはどうして、その、承諾なさったんですか?」


 あえて主語をはぐらかしたけど、彼はその意味を理解したようだった。


「ああ、その……美咲がこのままじゃかわいそうだからって、押し切られて、仕方なく」

「……そうでしたか」