シェヘラザードに捧げる物語




『はい。美咲にはぜひ、彼のような清廉潔白な方と家庭を築いていただきたく思っております』

「ですが、美咲さんは……その」

『昨日あの子が何を言ったかは知りませんが、私どもはそう考えております』


 有無を言わせない圧で話を遮られてしまった。

 彼女の両親にとって原嶋さんの意思は興味がなくて、まるっきり無視できるようなものなの……?


『親というものは、子の幸せのためなら何でもするものです……本人の意に沿わないものであっても』


 脳裏にお母さんの顔が浮かんだ。

 ……確かに、大賀くんと結婚できればきっと幸せな結婚生活を送れるだろう。


『ときに少々お聞きしたいのですが……柴田さん、貴女は大賀さんとどういったご関係なんですか?』

「……高校の同級生です」

『そうですか、丁度よかった』


 声が一瞬だけ柔らかくなる。


『美咲と大賀さんが二人きりになれるよう協力していただきたいんです』