「はい」
「川島です、弁護士の先生がいらしてるんですが、入っても大丈夫ですか?」
「どうぞ」
“弁護士”と聞いて少し驚いて聞き返すと、新婦の原嶋さんの弁護士さんだという。これだけの騒ぎになれば弁護士も出てくるか、とすぐに思い直して応じた。
「失礼します」
まず同僚の川島さんが入ってきて、それから背の高めな弁護士さんが続く。かっちりしたスーツを着こなすその人は、会釈をしながら「大変なところ失礼します」ときびきびした調子で言った。
上げたその顔を間近で見たとたん、私は漏れそうになる悲鳴を呑み込んだ。
「あ」
向こうは──大賀くんはただ驚いたらしく、鋭さがにじむ口を半開きにして私と見つめあっていた。
「あの……」
この状況を理解できない川島さんが私と彼を交互に見やる。そうだ。固まってる場合じゃない。
「こちらにどうぞ、川島さん、ありがとうございました」
とりあえず大賀くんにスツールを勧め、何か言いたげな川島さんを半分追い出すような形でお引き取り願う。



