シェヘラザードに捧げる物語

 


 自分の顔にそっと手で触ってみる。


 ぬるり。


 イヤな感触がして、おもむろに震える手のひらを見てみた。



(あ……)



 血だ。



 そう認識すると同時に、あちこちで悲鳴が上がった。


(ああ……)


 人生最良の日となるはずだったのに……。