復讐の悪女になるはずが、天使系義兄からピュアな執着と溺愛で邪魔されてます!

「リビーのために頑張ったんだよ」


 ゼリックはそう言ってわたしを撫でる。わたしは思わず目を細めた。


「ねえ、本当は僕のほうがかっこよかった?」

「え?」


 耳元で尋ねられ思わずドキッとしてしまった。わたし、まだ五歳なのに! ゼリックがメロ過ぎるのが悪いんだ。


(どうしようかな)


 もしかして、ゼリックがアインハードに勝つことにしたのも、わたしが彼を応援したことが理由だったりするのでは? そう思うと、ゼリックが健気で可愛すぎる。本当のことを教えてあげないと罰が当たるんじゃなかろうか?


「本当はね、お兄様が世界で一番素敵だし、かっこいいと思ってますよ!」


 小声でそう伝えると、ゼリックは「よかったぁ」と弾けんばかりの笑みを浮かべる。
 ああ、また思い切り毒気を抜かれてしまった。ゼリックが笑ってくれるだけで嬉しいし、このまま温々と日常を送れるだけで幸せじゃないかって思いたくなる。


(だけど、それじゃダメだ)


 現世の両親を殺したこの国を許しちゃいけない。
 拳を握りつつ、わたしは背後にそびえ立つ城を見つめるのだった。