復讐の悪女になるはずが、天使系義兄からピュアな執着と溺愛で邪魔されてます!

「でも、アインハード殿下も本当にかっこいいから、びっくりしました。わたし、殿下にお会いできてすごく嬉しいです」

「……ふぅん」


 アインハードが返事をする。そっけない言葉ではあるけど、どうやらまんざらでもないみたい。口の端がちょっとだけニヤついているもの。

 無事に好感度がアップしたことを喜んだのもつかの間、わたしはハッと背筋を震わせた。


(なんなの、この悪寒は)


 自分で自分を抱きしめていると、ゼリックから「どうしたの?」と声がかかる。
 ゼリックは天使みたいに美しく笑っていた。だけど、目がまったく笑っていない。邪悪な笑み――じゃなくて、神聖な笑みなのに怖いってどういうこと? 
 もしかして、わたしがアインハードを褒めたのが気に食わないとか? いや、ゼリックに限ってそんなまさか……。


「アインハード殿下に提案があります」

「提案? なんだ?」


 ゼリックの言葉に、アインハードがぶっきらぼうに返事をする。ゼリックは微笑み立ち上がった。


「僕と手合わせをしていただけませんか?」