復讐の悪女になるはずが、天使系義兄からピュアな執着と溺愛で邪魔されてます!

「僕が人形とリビーの見分けがつかないわけがないだろう? それに、運転手には『リビーが王宮についてきたい』と頼んでくるだろうから、そのときは僕に知らせるように伝えてあったんだ」


 ゼリックは運転手の両足の間に収まっていたわたしを席から引き剥がすと、ギュッと力強く抱きしめる。


「ダメだろう? こんなことをしちゃ」

「だって……」


 どうしても行きたかったんだもの。大人になるまで待つなんて、わたしにはできない。第一、王太子の婚約者ってあっという間に決まってしまう可能性があるし……。


「仕方がないな」


 ゼリックはため息をつきつつ、わたしを馬車の乗口へとエスコートする。


「今回だけだからね」

「……! 本当ですか、お兄様?」


 ゼリックが馬車に乗り込むのを待ってから、わたしは思い切り抱きつく。


「お兄様、大〜好き!」

「……うん、僕も」


 困ったように笑いつつ、ゼリックはわたしを抱きしめ返した。