復讐の悪女になるはずが、天使系義兄からピュアな執着と溺愛で邪魔されてます!

「お兄様、到着するまでの間、絵本を読んでください!」

「いいよ。リビーは絵本が大好きだね」


 馬車の中でわたしはゼリックに絵本を差し出す。
 少しでも早く言語能力を身につけるために、ゼリックの協力が必要不可欠だ。まずは基礎を身につけなければ新聞や歴史書を読み解くことなんて到底できない。
 ゼリックが音読するのに合わせて、わたしは絵本に書かれた文字を目で追う。


「これが『あ』ですか?」

「そうだよ。リビーは賢いね」


 ゼリックがよしよしとわたしを撫でる。
 前世の経験を踏まえたら本当はもう少し賢くなきゃいけないんだけど、ゼリックが褒めてくれると素直に嬉しい。復讐なんて忘れて、このままちびっこライフを満喫するのも悪くないと思えてしまうほどに――。


(って、それじゃダメなんだって)


 ブルブルと頭を横に振り、わたしは静かに前を向いた。