ゼリックはわたしの出自を知らない。パパが話したはずもない。
それに、わたしに赤ん坊の頃の記憶があるなんて、わかるはずがないのに。
「リビーが家に来た次の日、サウジェリアンナ王国のことが新聞に書かれていたからね。『王女が亡くなった』っていう記事と、お父様の様子から判断して、リビーがサウジェリアンナ王国のエルシャ王女に違いないって確信したんだ」
「そんな……だって、お兄様はあのとき五歳だったし、パパはわたしのことを、ただ『訳あり』だってママに話していたぐらいで」
「あのね、お父様のいう『訳あり』は『王命』だって意味なんだよ」
「……はい?」
ゼリックはそう言ってわたしを撫でる。ゼリックは一層わたしを強く抱きしめた。
「つまり、お父様は国王から頼まれて、リビーを我が家に連れ帰ったんだ。別人として、幸せに生きてもらうためにね。赤ん坊のリビーがサウジェリアンナ王国のことを覚えているのは想定外だったみたいだけど」
「そんな……」
だから国王はさっきあんなことを――『大きくなったね』なんて、言ったの? 赤ん坊の頃のわたしを知っているから?
それに、わたしに赤ん坊の頃の記憶があるなんて、わかるはずがないのに。
「リビーが家に来た次の日、サウジェリアンナ王国のことが新聞に書かれていたからね。『王女が亡くなった』っていう記事と、お父様の様子から判断して、リビーがサウジェリアンナ王国のエルシャ王女に違いないって確信したんだ」
「そんな……だって、お兄様はあのとき五歳だったし、パパはわたしのことを、ただ『訳あり』だってママに話していたぐらいで」
「あのね、お父様のいう『訳あり』は『王命』だって意味なんだよ」
「……はい?」
ゼリックはそう言ってわたしを撫でる。ゼリックは一層わたしを強く抱きしめた。
「つまり、お父様は国王から頼まれて、リビーを我が家に連れ帰ったんだ。別人として、幸せに生きてもらうためにね。赤ん坊のリビーがサウジェリアンナ王国のことを覚えているのは想定外だったみたいだけど」
「そんな……」
だから国王はさっきあんなことを――『大きくなったね』なんて、言ったの? 赤ん坊の頃のわたしを知っているから?



