復讐の悪女になるはずが、天使系義兄からピュアな執着と溺愛で邪魔されてます!

(確かにあの日、わたしは国王と王妃と同じ空間にいた)


 復讐相手を確認する貴重なチャンスだもの。できる限り二人に近づけるよう、必死に努力したのを覚えている。

 だけど、あのときはゼリックにピッタリ張り付かれていたせいで、体育館のステージから入口レベルぐらいの距離までしか近づけなかった。あれじゃ顔なんてまともに見れない。ましてや、わたしを『グレゾール家の令嬢』と判別するのは非常に難しいのではないだろうか?


「本当に、美しい令嬢に成長したね」

「陛下にそんなふうにおっしゃっていただけて光栄です」


 当たり障りのない会話をしているはずなのに、胸がドクンドクンと騒ぎはじめる。まるでアインハードと二人きりで演習に出かけたときみたいに。


『――殺しなさい』


 とそのとき、頭の中で現世の両親の声が響き渡った。