復讐の悪女になるはずが、天使系義兄からピュアな執着と溺愛で邪魔されてます!

「父上、母上」


 アインハードの呼びかけに男女二人が反応する。アインハードによく似た金の髪と、美しく整った目鼻立ち。実年齢はアラフォーなのに対し、二人とも見た目は二十代後半にしか見えない。


(これがわたしの復讐相手――ジルヴィロスキー王国の国王と王妃)


 そう思った途端、身体中の血液がざわりと騒ぐ。わたしはゴクリと息を呑んだ。


「アインハード、そちらの令嬢が……」

「ええ、以前からお話しておりましたリビー・グレゾール伯爵令嬢です」


 男性――国王の言葉にアインハードが深くうなずく。目配せを受けてから、わたしは二人に向かって大きく膝を折った。


「はじめまして、リビー・グレゾールと申します」

「そうか……」


 顔を上げ、わたしが微笑むと、国王はそっと目を細める。


「随分大きくなったね」

「え?」

(大きくなった?)


 どうしてそんなことを思うのだろう?
 わたしの疑問に呼応するかのごとくアインハードが顔をしかめ、そっと身を乗り出した。


「父上はリビーと面識が? 俺の記憶では今回が初対面だと……」

「おまえが十歳の時、パーティーに来ていただろう? 挨拶は交わしていないけれど、遠目に見かけたのを覚えていたんだよ」

「ああ、あのときに……」


 アインハードが納得した様子で微笑む。だけど、わたしはなんとなく腑に落ちなかった。