復讐の悪女になるはずが、天使系義兄からピュアな執着と溺愛で邪魔されてます!

「生まれたときから、ね」


 ゼリックはそう言って目を細める。それからわたしを大事そうに抱え直した。


「そうだね。僕が誰よりも一番、リビーのことを愛しているよ」

「……うん」


 ゼリックの愛情は疑いようがない。だけど、もしも現世の両親が生きていたら、どうだっただろう? どちらのほうがわたしを愛してくれていただろう? ……ついついそんなことを考えてしまう。


(わからない)


 悲しかった前世の記憶を塗り替えてくれたのは、現世の両親だ。二人が大きな愛情をわたしに注いでくれたのは間違いない。だけど、そんな二人はわたしの夢に毎日現れ『復讐をしろ』と囁いてくる。


「リビー、考えるのはやめて少し眠ったら?」


 ゼリックが言う。それから小さく子守唄が聞こえてきた。幼い頃になんどもゼリックが歌ってくれたものだ。


(ああ、落ち着く)


 本当に、とても懐かしい。ゼリックの温かな腕に小刻みな振動、それから子守唄まで聞かされたら耐えられない。……体は数倍大きくなったし、歌声はあの頃と違って低くなってしまったけど。それでも、ゼリックはゼリックのままだって。わたしも幼い頃のままでいいんだって思えて、すごく嬉しいんだもの。

 まぶたが段々重たくなっていく。心地のいい睡魔がわたしを襲う。
 その日、わたしは久しぶりに両親の悪夢を見ず、ぐっすり眠ることができたのだった。