復讐の悪女になるはずが、天使系義兄からピュアな執着と溺愛で邪魔されてます!

『こっちを見て! アインハード殿下!』


 声には出ていないものの、彼女の口がハクハクとそう動いている。瞳のなかにハートが描かれているように見えるし、どう見ても恋する乙女のそれだ。

 彼女の名前はシャルロッテ・ヴェーティ。入学式の日にわたしとアインハードの間に割り込んできた女性だ。


 彼女の情報については入学式の後に整理をした。
 家格はわたしと同じ伯爵家の令嬢なんだけど、文官肌の我が家とは違い商業的に成功をしているタイプの家だ。国の南側に領地があって、果物の栽培や観光業に力を入れているらしい。王都から少し離れているので、これまで夜会やお茶会にはあまり参加していなかったみたいだけど。


(シャルロッテもわたしと同じ、アインハードの婚約者候補なのよね)


 件のお茶会に参加したメンバーは全部で五人いたらしい。全員がこれまでアインハードと面識のなかった女性だったらしく、顔見知りのわたしは意図的に除外されていただけだと知って少しだけ安心した。


(だけど、ライバルはきっと、もっとたくさんいるんだよね)


 そう思ったら居ても立っても居られない。少しでも強くアインハードの意識に残りたい。ここで気を引いておかなきゃだ。