復讐の悪女になるはずが、天使系義兄からピュアな執着と溺愛で邪魔されてます!

(でも、よかった)


 これで必要以上に怯える必要がなくなった。財産を奪われた上、公爵家のために動く人間がいなくなれば、我が家に対して圧力なんてかけられないもん。ナイフでも持って襲いかかってきたら話は別だけど、わたしはともかくゼリックはそんなんでやられたりしないし、一安心だ。


 それにしても、どうしていきなり公爵の悪事が暴かれたんだろう?


 だって、相手は国王の叔父だし。だからこそ、これだけのことをしていながら、被害者たちは泣き寝入りをするしかなかったのだ。公爵の犯行だとわからなかったにせよ、唐突に事実が明るみになるなんて変だし、なにかキッカケがあったのではないだろうか? なにか――。


(いや、まさかね)


 一瞬だけゼリックの顔がチラついた。わたしが傷つけられそうになってめちゃくちゃ怒っていたし。なんなら『世界中の誰を敵に回しても全力で戦う』なんてことも言っていたっけ。

 だけど、一介の学生が大貴族の犯罪行為を次々暴いていくなど無理に決まっている。いくらゼリックが神童だからってさすがに……無理、だよね?


 そう思ったところで、外から馬車の音が聞こえてきた。