復讐の悪女になるはずが、天使系義兄からピュアな執着と溺愛で邪魔されてます!

「嬉しい。可愛いお洋服をたくさん買ってあげたいし、一緒にお買い物やお茶もしてみたいわ。私のことはママって呼んでね! ……って、まだ気が早いかしら? お喋りをはじめるのはもう少しあとよね」

(……疑問に思うべきはそこじゃないと思うわ、ママ)


 夫がいきなり連れ帰った赤ん坊って、もっと警戒すべき対象じゃないの? たとえば愛人の子供かもしれないとか、少しは疑ってかかるものじゃない? ……そう思うけど、曇のないキラキラした眼に見つめられたら、こちらの邪気が抜けてしまう。本当に純粋培養のお嬢様というか、脳内お花畑というか、幸せそうだからなによりだけど……。


「早くゼリックにも教えてあげなくちゃ! さあ、一緒にお家に入りましょうね」


 ジュディ――いや、ママはわたしを抱きかかえて屋敷の中に入っていった。磨き上げられたエントランスを抜け、階段を上がり、二階の一番奥にある部屋の扉をノックする。


「ゼリック、ママよ。話があるの。入ってもいい?」


 ノックから数秒後、扉の隙間から小さな男の子がヒョコッと顔を出した。

 父親譲りの銀の髪に、宝石みたいに綺麗な紫色の瞳、それから母親譲りのピュア度満開な顔立ちというのがわたしの抱いた印象だ。そういえば、わたしを連れてきた男性がゼリックは五歳だと言っていたっけ。大きすぎず小さすぎず健康的な体つきをしている。