復讐の悪女になるはずが、天使系義兄からピュアな執着と溺愛で邪魔されてます!

「お兄様、もうやめましょう? フランソワーズ様のおっしゃるとおりです。わたしにはそこまでの価値はありません。なにより、わたしのせいでお兄様たちが犠牲になるなんて嫌です」


 ……いや、よくよく考えたらこんなことになったのはゼリックがフランソワーズ様の求婚を断ったからなんだけど! 今はこの場を丸く収めたい。フランソワーズ様、ちょっとだけ怯んでいるし。今ならなんとかできる気がする。


「価値がない? リビーは世界で一番可愛いし、尊い存在だよ! 僕のなによりの宝物なんだ!」


 ゼリックはそう言うと、わたしを思い切り抱きしめる。


(ゼリック……)


 わたし、復讐のことばかり考えている人間なのに。これまで、アインハードに近づくためにゼリックを利用してきた。復讐の邪魔だからとゼリックを無理やり婚約させようとしたし、自分から遠ざけるためにひどいことを言おうと思っていた。そんなわたしに、あんなふうに言ってもらえる資格はない。

 ――ないはずなのに、わたしはゼリックから大事に思ってもらえることがたまらなく嬉しい。


(ゼリックのバカ)


 こんなことされたら邪険にできない。嫌いになんてとてもなれない。どれだけ復讐を邪魔されても、ゼリックならいいかって思ってしまう。