こもれび日和

「だったら聞こう。
 五年後、十年後、
 君はどれくらいの給料をもらっている。
 蘭の本は何冊出ている。
 子どもが生まれたとして、
 きちんと育てていけると、
 どうして言い切れる」

次々と投げかけられる問いは、
現実的で、重い。

答えられない未来の数字を
責められているような感覚。

「……分かりません」

律は、正直に言った。

「分からないのなら、
 その程度の覚悟ということだ」

「違います」

蘭が、
思わず立ち上がった。

「お父さん、違う。
 数字は分からないけど、
 私たちは、ちゃんと考えてます。
 書けなくなった時のことも、
 仕事がうまくいかない時のことも。
 それでも、それでも——
 一緒に生きていきたいんです」

蔵之介は、
娘の必死な表情を、
驚くほど冷静な目で見つめていた。