こもれび日和

「おー、母さん」

「立派になって……。
 あら、蘭ちゃんも」

蘭は、上品な淡い色の袴に身を包み、
少し緊張した面持ちで立っていた。

「お世話になっております、蘭です」

「いつも息子がご飯の話ばっかりしてごめんねぇ」

「いえ、とても楽しいです」

そんなやりとりを遠くから見つめていたのが、

蘭の父だった。

父・蔵之介は、
無骨なスーツ姿に、
きっちりと結ばれたネクタイ。

眼鏡の奥の視線は鋭く、
昔から「怖い」と評判だった。

クラノスケはため息をひとつついて
蘭の方へ歩き出した。

「蘭」

「……お父さん」

その声だけで、
背筋が自然と伸びる。

「こっちも挨拶した方がいいだろう」