こもれび日和

時は流れ、
ふたりは四年生になった。

律のレシピ本は、
地味ながらもじわじわと売れ、

「家庭で作れるのに、少しだけ特別な味」と
ネットで話題になった。

蘭のデビュー作も、
「食べ物と記憶」をテーマにした
静かな物語として、本屋の文芸棚に並んだ。

大学最後の一年は、
仕事と卒論と、
時々デートで埋まっていった。

そして迎えた卒業式の日。

星ヶ丘大学の正門前は、
袴姿やスーツ姿の学生たちで溢れていた。

「律〜!」

料理科学部の仲間たちと写真を撮っていると、
後ろから母の声がした。