「...良かった」
思わず、律の声が漏れました。
約1週間が経過し、少し風が吹く涼しい朝。
いつもどおり電車に乗った律は、
習慣のように、あの席を見ました。
そこには、ライトベージュのカーディガンを着て、文庫本を膝にのせた蘭が座っていました。
「!?」
目が合いました。
蘭は恥ずかしそうに、はっきりと笑いました。
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
律は、いつもより一歩近づきました。
「気分はいいですか?」
「はい。元気になりました。お手紙ありがとうございます。紙の言葉は素晴らしいですね。何度も読み返しました。」
「良かった。許可なく書いてごめんなさい。」
「いいえ。......それはただの報告ですみたいなところが律さんっぽいなと思いました。」

