3時間目の芸術の授業は選択制で、美術・音楽・書道の中から好きなものを選ぶ形式だ。
服が汚れるのが嫌なので書道はなし、音楽はあんまり好きじゃないのでなし…というふうに選び、消去法で私は美術を選択した。
資料集と画材セットを胸に抱えて美術室に向かう途中で、猫背気味な姿勢で歩くクラスメイトの男子――小内響を追い抜かす。
フルネームを知っているのは、小内響に想いを寄せているから、というわけではない。美術室での名簿順座席で隣だからだ。
そのまま美術室に入ると、絵の具のような独特なにおいが私の鼻腔を撫でた。



