ambivalence


ある寒い夜の日のことだ。

コツコツとヒールの音を鳴らしながらタクシーに乗り込む女の名は高宮百合。運転手と軽く挨拶を交わすと、ゆっくりと車が動き出した。窓から煌びやかなネオン街を眺めていると、ふと昼間の女の子達の会話を思い出す。

カフェでコーヒーを飲んでいたら、聞こえてきた恋バナ。「きゃーきゃー」と照れた表情を浮かべながら女の子が彼への想いを語っていた。世間一般的には可愛い会話なのだとか。

そんな彼女達を理解できない…いや、したいとも思わないのだ。恋愛などしなくても、下半身は濡れる。形式的な愛の言葉を囁き身体を重ね、相手が思い通りに動いたその時、初めて心が満たされる。

愛だとか恋だとか、そこから精神的に得られるものなど皆無なのだ。