この二人の政略結婚に意義ある者は、今すぐ申し出よ。さもなくば永遠に沈黙せよ。

 ひと足先に結婚した兄夫婦は実家であるルーシャン公爵家で寝泊まりして、私の結婚式の準備の手伝いをしてくれているし、昨年宰相を引退した祖父は可愛い孫娘の晴れ姿を見ることが楽しみ過ぎて、先ほどの晩餐では涙を流してしまっていた。

 可愛がってくださるお祖父様に喜んでもらえることは嬉しい……嬉しいけれど、好きな人を姑息な手段で手に入れることには私はどうしても抵抗を感じていた。

 ……こんなこと、しなければ良かった。大きな権力を持つ祖父に頼み込んで、好きな男性を手に入れるなんて。

 もっと正当な手段、兄に紹介してもらって、その上でノアが私ともっと話したいと望み、関係を深めて結婚することになれば、こんな思いを抱かなくて良かったのに。

 ああ。そうよ。私ったら、何を考えているのかしら。

 私はノアのことが好きだと、まだ伝えていないのよ。婚約している時も、家同士が決めたことだから政略結婚として仕方ないという態度を崩さなかった。

 私はとても狡い女なのだ。

 それなのに、大好きな人と結婚する……ノアは貴族の務めとして、私と結婚をするだけなのに。

「っ……はあっ……はあっ……」