𖤐 ̖́-
翠くんの名字の読み方を知ったのはその放課後。
隠されると知りたくなるのはしょうがない。
剣道部の友人を呼び止めると意を決して聞いてみた。
「剣道部の2年に翠くん、て名前の人いるよね?」
「え?うん。いるね」
「あの珍しい名字どうやって読むの?」
「あれね。あれは絶対に初見じゃ読めないよ。
月見里で『やまなし』って読むらしいよ。」
こんなの私がどう考えても分からなかったやつじゃん。
次の週、サプライズ感覚で翠くんのことを
「月見里くん?」
なんて呼んだら、これまた手から本を落下させ、天を仰いでいた。
イタズラは大成功である。
「茉奈さんはこれから俺の事名字で呼ぶの禁止です」
─おわり─



