少し言いにくそうに綺麗な茶色の瞳が揺れると意を決したように翠くんは
「…突然呼ばれたので驚いただけです」
と言った。
もしかして、こんなになるほど嫌だったのか。それは申し訳ないことをしてしまった。
「さすがに馴れ馴れしかったよね」
「そういう問題では無いです」
問題じゃないの?じゃあなんで?そんな疑問で頭を埋め尽くす。
おもわず問い詰めてしまいそうになるところをグッと堪えた。これでも一応先輩だ。
後輩の心を汲み取って相手の言葉を待つことにする。
でもいくら待っても一向に翠くんは口を閉ざしていて、困っているみたいだから私はゆっくり話し始めた。
「実はね……」
私の言葉に翠くんの頭がガバッと私の方を見た。そんな期待されても、何も出ないよ。
「私、翠くんの名字分からないんだ」
「へ?」
「一生懸命読もうとしたんだけど分からなくて、でも最近剣道部の横断幕が飾っているでしょ?それで下の名前が翠って知ったの」



