「はい」と本を手渡しすると小さな声で「ありがとうございます」とだけ言うとすぐに方向転換。
瞬きしている間にも消えてしまいそうだったから急いで
「翠くん!
体調悪いなら保健室行きなよ!我が校の大事な剣道部に何かあったら大変だから!!」
その瞬間、翠くんの体がビクン!と跳ねて抱えた本はもう一度床へと落ちていった。
「……まって。さすがにおかしいよね。大丈夫じゃないよね!?」
本当に大事な大事な翠くんに何かあったのでは!!と血相変えてカウンターから翠くんへ駆け寄る。
下から覗き込んで見ると、パチッと目が合ってすかさず逸らされる。
「……名前」
名前。その単語には心当たりしかない。ついさっき生意気ながら呼ばせていただいたのだから。
「うそ、もしかして『すいくん』だった?」
「いえ、みどりで合ってます。ただ」



