あやしき恋と陰陽師!

巳和(みわ)!?」
「死んだはずでは……!」
「どういうことだ!」

 一番動揺しているのは勿論、道蔵さんだった。巳和さんは妖しく微笑む。

「驚くわよね? 消したはずの女が生きているんだもの」

 『消したはずの』という言葉に、人々は顔を見合わせる。

「緋暮を産んだあと、私はこの男――道蔵に地下牢に閉じ込められ……必死の思いで逃げたわ。そして生き延びた」
 
 つかつかと歩いてきた彼女は、道蔵さんの目の前に立つ。

「この……バケモ――」

 叫ぼうとする道蔵さんの耳元で、彼女は囁く。
  
「あら、良いの? それを言って恥をかくのは――バケモノと見抜けず娶った貴方よ」

 ついに、道蔵さんは項垂れる。
 力を失った父親をじっと見つめる緋暮は、何を考えているんだろう。
 
 心配する私の視線に気づいた彼は、安心させるように微笑み、よく通る声で宣言した。

「今後は僕が芦ヶ谷の当主や。――異論ないな?」

 鋭い視線で周囲を見回す。否を唱えられる人間はどこにもいなかった。
 あたりの様子を確認した周くんはゆっくりと息を吐き、宣言する。

「それでは皆様、これにて総会は閉会です」
 
 こうして、大波乱の総会が幕を閉じたのだった。