指が突っ込まれ、鉄の味が口内に広がる。
「血清や。蛇毒やったら解毒できる」
「んっ……!」
「もうちょっと飲んで。嫌やろけど、ごめんなぁ」
彼はその間、撫子ちゃんから目を離さない。
射殺さんばかりの視線に、撫子ちゃんは恐怖で動けない。まるで、蛇に睨まれた蛙だった。
「ん、足が……動く!」
伝えた瞬間、緋暮は私の口から指を抜いて走り出す。
三秒とせず、彼女の前に辿り着いた彼はそのまま、刀を振り切った。
──ザッ!
「ちょっ……!?」
撫子ちゃんが目を見開いたまま、完全に硬直する。
さっきまでは恐怖で固まってたみたいだったけど、斬刻刀で時を止められたんだ。
氷の彫像のようになった彼女の目の前で、緋暮は刀を逆手に持ち上げた。そのまま振り上げられた切先は、撫子ちゃんに向かって――。
「待って、緋暮!」
振り下ろす直前の姿で止まった彼の元へ全力で走り、その腕を掴む。
「邪魔せんといて」
「だめ!」
だって彼女からは、妖魔の気配を感じたの!
半分あやかしな緋暮ともまた違った、人間なのに妖魔にされかけている、異様な気配。
さっき蛇に噛まれたとき、私は同じ気配を自分の身体に感じた。ということは。
「撫子ちゃんも毒で、操られてるんだよ!」
「関係あらへんよ。この娘、椿ちゃんを殺そうとした」
緋暮は絶対零度の視線を、彼女に向けていた。
「緋暮のおかげで、私は大丈夫だから!」
「やけど」
「お願い!」
祈りを込めて見つめると、不満そうに、それでも彼は刀を下げた。
「妖魔の気配がするの。私に浄化させて……!」
「あ〜〜〜、ったく、もう!」
彼は大きく大きくため息をついてから、両手を挙げる。
「降参やわ。好きにしぃや」
「ありがと!」
動かなくなった彼女の手を取る。
そして妖力を流した瞬間――頭の中に『北條撫子』の記憶と苦しみが、一気に雪崩れ込んできた。
「血清や。蛇毒やったら解毒できる」
「んっ……!」
「もうちょっと飲んで。嫌やろけど、ごめんなぁ」
彼はその間、撫子ちゃんから目を離さない。
射殺さんばかりの視線に、撫子ちゃんは恐怖で動けない。まるで、蛇に睨まれた蛙だった。
「ん、足が……動く!」
伝えた瞬間、緋暮は私の口から指を抜いて走り出す。
三秒とせず、彼女の前に辿り着いた彼はそのまま、刀を振り切った。
──ザッ!
「ちょっ……!?」
撫子ちゃんが目を見開いたまま、完全に硬直する。
さっきまでは恐怖で固まってたみたいだったけど、斬刻刀で時を止められたんだ。
氷の彫像のようになった彼女の目の前で、緋暮は刀を逆手に持ち上げた。そのまま振り上げられた切先は、撫子ちゃんに向かって――。
「待って、緋暮!」
振り下ろす直前の姿で止まった彼の元へ全力で走り、その腕を掴む。
「邪魔せんといて」
「だめ!」
だって彼女からは、妖魔の気配を感じたの!
半分あやかしな緋暮ともまた違った、人間なのに妖魔にされかけている、異様な気配。
さっき蛇に噛まれたとき、私は同じ気配を自分の身体に感じた。ということは。
「撫子ちゃんも毒で、操られてるんだよ!」
「関係あらへんよ。この娘、椿ちゃんを殺そうとした」
緋暮は絶対零度の視線を、彼女に向けていた。
「緋暮のおかげで、私は大丈夫だから!」
「やけど」
「お願い!」
祈りを込めて見つめると、不満そうに、それでも彼は刀を下げた。
「妖魔の気配がするの。私に浄化させて……!」
「あ〜〜〜、ったく、もう!」
彼は大きく大きくため息をついてから、両手を挙げる。
「降参やわ。好きにしぃや」
「ありがと!」
動かなくなった彼女の手を取る。
そして妖力を流した瞬間――頭の中に『北條撫子』の記憶と苦しみが、一気に雪崩れ込んできた。
