あやしき恋と陰陽師!

 ――え、これからコイツと一緒に暮らすの!?
 呆然としながら陰陽寮の建物に入ると、緋暮が誰かとぶつかった。
 
「っと」
「あァ? 椿と……んだよお前、新人か?」
 
  あ、あちゃ〜。
 よりによってぶつかったの、新人(特に男)にいちゃもんつけるで有名な先輩じゃん。
 ってか、先輩の方からぶつかりに行ってたように見えたけど……。

「ん〜? 堪忍やでぇ」
「関西弁? どっから来たのか知らねぇけど、敬語もロクに使えないのかよ。こっちは三年目の先輩だぞ!」
「三年目?」

 緋暮は苛立ちを露わにする先輩の全身を眺め、笑った。

「制服もそない綺麗にしはって。立派なお仕事されてはるんですねぇ」
「せ、制服? 何の話だよ」

 困惑する相手を物ともせず、緋暮は満面の笑みで爆弾を落とした。

「三年ぽっちで新人イビリとかアホちゃう? 制服も汚れへん簡単な任務しか回して貰えへんねやろなぁ、言うてんねん雑魚」

 周りの空気が、ピシッと音を立てる。

「なっ!?」
「因縁つける暇あるんやったら、鍛錬でもしはったら?」
「このガキがっ!」

 先輩は緋暮の胸ぐらを掴み、拳を振り上げる。

「ちょっ!?」

 思わずぎょっとして、止めようと手を伸ばすと――。

 ――バンッ!
 何かが叩きつけられる音が響いた。周囲の視線が一斉に集まる。
 床に転がったのは……先輩だった。
 
 緋暮は最小限の動きで攻撃を躱し、体格のいい年上を容易く捻り潰したのだ。
 ――コイツ、強い……!
 
「くそっ!」

 先輩は必死にもがいてるけど、緋暮の拘束からは抜け出せない。
 その時、呆れたような声が聞こえた。
 
「お前ら、そこまでにしとけよ」
「っ! 犬飼(いぬかい)さん!」