「芦ヶ谷さん、少しお話よろしいですか」
唐突に僕に声をかけてきたのは、治癒師の保科くんだった。彼は返事を待たないまま、着いてこいとばかりにズンズン進む。
「それが人にモノ頼む態度なん?」とか言おうとして、やめた。棘でも抜けたかのように彼から敵意が消えていたからだ。
着いていった先は、医務室。なるほど、二人きりで話したいということらしい。
「一個聞いてもええ?」
「どうぞ」
「なんで保科くん、怪我しとんの」
「……気づきましたか」
後ろに着いて歩いていたとき、詠暦院の制服から爛れた手の甲が見えたのだ。保科くんが袖を捲ると、真新しい火傷痕が見えた。
「うわー、ひっどい傷」
目を凝らすと、内肘のあたりに小さな傷がいくつかあることに気づいた。
「先ほど、蠱毒を使う妖魔の女……恐らく最近の暦外れの黒幕と会敵しました。毒を使って、あやかしを妖魔化させていたのでしょう」
先日の月食でも、サソリに刺された途端凶暴化した妖魔を僕も見ていた。
あれが蠱毒のせいならば、つじつまも合う。
「毒には妖力を暴走させる効果があるのでしょう。ぼくも刺されて、一瞬闇に呑まれそうになりましたが……追い払いました」
「どうやったん?」
火傷の痕を見れば想像はついたけど、聞いてみる。
「毒ごと自分の身体を焼き払いました」
「あははっ、やるやん!」
平然と言い放つ彼を見て、ゲラゲラ笑ってしまった。
想像以上にこの少年、肝が据わっている。
「ぼくが聞きたいのは、その女が言っていた内容についてです」
「内容?」
「芦ヶ谷緋暮は、半人半妖であると」
唐突に僕に声をかけてきたのは、治癒師の保科くんだった。彼は返事を待たないまま、着いてこいとばかりにズンズン進む。
「それが人にモノ頼む態度なん?」とか言おうとして、やめた。棘でも抜けたかのように彼から敵意が消えていたからだ。
着いていった先は、医務室。なるほど、二人きりで話したいということらしい。
「一個聞いてもええ?」
「どうぞ」
「なんで保科くん、怪我しとんの」
「……気づきましたか」
後ろに着いて歩いていたとき、詠暦院の制服から爛れた手の甲が見えたのだ。保科くんが袖を捲ると、真新しい火傷痕が見えた。
「うわー、ひっどい傷」
目を凝らすと、内肘のあたりに小さな傷がいくつかあることに気づいた。
「先ほど、蠱毒を使う妖魔の女……恐らく最近の暦外れの黒幕と会敵しました。毒を使って、あやかしを妖魔化させていたのでしょう」
先日の月食でも、サソリに刺された途端凶暴化した妖魔を僕も見ていた。
あれが蠱毒のせいならば、つじつまも合う。
「毒には妖力を暴走させる効果があるのでしょう。ぼくも刺されて、一瞬闇に呑まれそうになりましたが……追い払いました」
「どうやったん?」
火傷の痕を見れば想像はついたけど、聞いてみる。
「毒ごと自分の身体を焼き払いました」
「あははっ、やるやん!」
平然と言い放つ彼を見て、ゲラゲラ笑ってしまった。
想像以上にこの少年、肝が据わっている。
「ぼくが聞きたいのは、その女が言っていた内容についてです」
「内容?」
「芦ヶ谷緋暮は、半人半妖であると」
