「もし緋暮が妖魔になったって……私が浄化してみせるから!」
涙が溢れて止まらなかった。ゴシゴシと袖で擦ろうとすると、手首を掴まれて止められてしまう。
そして緋暮は、私の涙を優しく拭った。
「ほんま椿ちゃんは、ワガママやなぁ」
「な、何よっ」
「そのワガママに付き合いきれるの……世界で僕だけやって、よーく覚えてて」
彼は眉を下げて、柔らかく笑っていた。
「ほら、もう遅いし帰りや」
「でも、緋暮は?」
「夜が明けたら僕も帰るよ。月食終わるまではこの姿やから」
月はまだ赤い。太陽が昇るまで、あと数時間はあるはず。その間、緋暮は一人で姿を隠すつもりなんだ。
『蛇は変温動物。寒いのが苦手やから』
以前雪女を浄化したとき、緋暮が言ってたことを思い出す。
深夜も深夜の時間帯なわけで、陰陽師の制服がいくら長袖とはいえ、結構肌寒かった。
だから。
「緋暮……寒くない?」
「え? まぁな、やけどこの程度なら……」
「寒いの、苦手なんでしょっ!」
頬に熱が集まる。一瞬ぽかんとした緋暮は、私の言葉の意味を理解して、ふにゃりと笑った。
「……寒い、ってことにしてええ?」
再び緋暮に引き寄せられ、ぎゅううっと抱きしめられる。
心臓がバクバク音を立てて、聞かれてたらどうしようって思った。
彼の纏うローブに顔を埋める。
「これは寒いから……! し、仕方なくなんだからね!」
「せやね、不可抗力や。やから、」
私の言い訳に、緋暮も言い訳を重ねてくれる。そして耳元で、とろけたみたいな甘い声が落とされた。
「夜が明けるまで、椿ちゃんが暖めて」
涙が溢れて止まらなかった。ゴシゴシと袖で擦ろうとすると、手首を掴まれて止められてしまう。
そして緋暮は、私の涙を優しく拭った。
「ほんま椿ちゃんは、ワガママやなぁ」
「な、何よっ」
「そのワガママに付き合いきれるの……世界で僕だけやって、よーく覚えてて」
彼は眉を下げて、柔らかく笑っていた。
「ほら、もう遅いし帰りや」
「でも、緋暮は?」
「夜が明けたら僕も帰るよ。月食終わるまではこの姿やから」
月はまだ赤い。太陽が昇るまで、あと数時間はあるはず。その間、緋暮は一人で姿を隠すつもりなんだ。
『蛇は変温動物。寒いのが苦手やから』
以前雪女を浄化したとき、緋暮が言ってたことを思い出す。
深夜も深夜の時間帯なわけで、陰陽師の制服がいくら長袖とはいえ、結構肌寒かった。
だから。
「緋暮……寒くない?」
「え? まぁな、やけどこの程度なら……」
「寒いの、苦手なんでしょっ!」
頬に熱が集まる。一瞬ぽかんとした緋暮は、私の言葉の意味を理解して、ふにゃりと笑った。
「……寒い、ってことにしてええ?」
再び緋暮に引き寄せられ、ぎゅううっと抱きしめられる。
心臓がバクバク音を立てて、聞かれてたらどうしようって思った。
彼の纏うローブに顔を埋める。
「これは寒いから……! し、仕方なくなんだからね!」
「せやね、不可抗力や。やから、」
私の言い訳に、緋暮も言い訳を重ねてくれる。そして耳元で、とろけたみたいな甘い声が落とされた。
「夜が明けるまで、椿ちゃんが暖めて」
