あやしき恋と陰陽師!

 僕の母親……巳和(みわ)は、蛇のあやかしだった。
 正体を隠し陰陽師として活動していた彼女はある日、芦ヶ谷の当主に熱烈に求婚され、そしてそれを受け入れたという。

 しかし彼女の平穏な生活は、出産したその日に一変した。
 生まれた子が、白髪に金色の目を持っていたから。

 それが僕、芦ヶ谷緋暮だった。

 あやかしだとバレた母親は、地下牢に閉じ込められる。
 それは跡継ぎとして切望されたはずの僕も同じだった。

「半人半妖の化物を産むなど!」

 忌々しげに僕らを睨む父の視線は、今も身体にこびりついている。

 名家の当主が、そうと知らずにあやかしを娶ったなど知られれば、末代までの恥。
 そう考えた父親は、表向きは病気ということにして母を幽閉した。

 父は、母を愛してなどいなかった。

「俺を騙しやがって、化け物が!」
「貴方こそ、私を愛してるって、嘘だったのね!」
「お前と結婚したのは、最も妖力ある陰陽師の女だったからや。人やないと知っていれば!」
「最低……!」
 
 音が反響する地下牢の中、両親の激しい口論を聞いて僕は育った。

 しかし、それからしばらくしたある日のこと。
 目を覚ますと母親は居なくなっていた。
 僕を置いて逃げたのだ。

 これで僕は一人になった。そばにいてくれたのは、どこからか入り込んできた白い蛇だけ。
 僕はその蛇をシロと名づけ、契約あやかしにすることにした。