緋暮がこの婚姻を望んでないことは分かる。
でも「君と結婚はしない」ときっぱり断言もしてくれなかった。
「緋暮、さっきのって」
「気にする必要ない。僕のこと好き〜なんて言う女はどうせ、顔か血筋目当てやから」
「そんなこと……ないかもしれないでしょ」
「他に何があんねん」
緋暮は鼻で笑った。いつも自信満々な彼の、珍しい自虐。
「そりゃ……確かに緋暮は性格悪いし、意地悪だし、顔だけ男って思ったこともあるけど」
「結構言うやん」
「――でも、優しいよ」
私は彼をまっすぐ見つめる。
「緋暮は、私のあやかしと仲良くしたいって理想を尊重してくれた。……ねぇ」
許嫁について、本当はどう思ってるの?
そう尋ねたいのに、次の言葉が、出ない。
「……何でもない」
でもそんな私の考えてることは全部見抜いてるみたいに、彼はこちらを覗き込んでくる。
「僕があの女と結婚してまうかもって、不安なん? ヤキモチ妬いちゃった?」
揶揄うような口調の彼は、ちょっと余裕を取り戻したみたいだった。
「……緋暮があの子と結婚したら、もう私とはバディを組めなくなっちゃうの?」
「そやろねぇ……えっ」
緋暮がぽかんと口を開ける。
さっき撫子ちゃんに触られた彼の手を、私がぎゅっと強く握ったから。
私の感触で、上書きしたかった。
――だって緋暮は、私のバディだもん。
「ほんとに撫子ちゃんと、結婚しちゃうの……?」
「っ……」
何度も私を助けてくれたこの手が、他の子のものになっちゃうなんて耐えられない。
瞳が潤んで、目の前の緋暮の姿がぼやける。
彼が息を呑む気配がした。
「椿ちゃんは、僕があの子と結婚するの、嫌?」
「……うん。イヤ」
恥ずかしいのに、子どもじみた独占欲がどうしても抑えきれない。
「僕のこと、取られたくない?」
「うん」
「僕のこと……好き?」
それは、どういう意味で聞いているんだろう。
好きか嫌いかなら、間違いなく好き。
だけどこの「好き」は、どういう「好き」なんだろう。
何度もぶつかったけど、何度も助けてくれた。
あやかしと仲良くなれる世界を作りたいって夢を、緋暮は受け入れてくれた。
これが……恋なのかはまだ分からない。
だけど一つ、分かることがあるとすれば。
でも「君と結婚はしない」ときっぱり断言もしてくれなかった。
「緋暮、さっきのって」
「気にする必要ない。僕のこと好き〜なんて言う女はどうせ、顔か血筋目当てやから」
「そんなこと……ないかもしれないでしょ」
「他に何があんねん」
緋暮は鼻で笑った。いつも自信満々な彼の、珍しい自虐。
「そりゃ……確かに緋暮は性格悪いし、意地悪だし、顔だけ男って思ったこともあるけど」
「結構言うやん」
「――でも、優しいよ」
私は彼をまっすぐ見つめる。
「緋暮は、私のあやかしと仲良くしたいって理想を尊重してくれた。……ねぇ」
許嫁について、本当はどう思ってるの?
そう尋ねたいのに、次の言葉が、出ない。
「……何でもない」
でもそんな私の考えてることは全部見抜いてるみたいに、彼はこちらを覗き込んでくる。
「僕があの女と結婚してまうかもって、不安なん? ヤキモチ妬いちゃった?」
揶揄うような口調の彼は、ちょっと余裕を取り戻したみたいだった。
「……緋暮があの子と結婚したら、もう私とはバディを組めなくなっちゃうの?」
「そやろねぇ……えっ」
緋暮がぽかんと口を開ける。
さっき撫子ちゃんに触られた彼の手を、私がぎゅっと強く握ったから。
私の感触で、上書きしたかった。
――だって緋暮は、私のバディだもん。
「ほんとに撫子ちゃんと、結婚しちゃうの……?」
「っ……」
何度も私を助けてくれたこの手が、他の子のものになっちゃうなんて耐えられない。
瞳が潤んで、目の前の緋暮の姿がぼやける。
彼が息を呑む気配がした。
「椿ちゃんは、僕があの子と結婚するの、嫌?」
「……うん。イヤ」
恥ずかしいのに、子どもじみた独占欲がどうしても抑えきれない。
「僕のこと、取られたくない?」
「うん」
「僕のこと……好き?」
それは、どういう意味で聞いているんだろう。
好きか嫌いかなら、間違いなく好き。
だけどこの「好き」は、どういう「好き」なんだろう。
何度もぶつかったけど、何度も助けてくれた。
あやかしと仲良くなれる世界を作りたいって夢を、緋暮は受け入れてくれた。
これが……恋なのかはまだ分からない。
だけど一つ、分かることがあるとすれば。
