あやしき恋と陰陽師!

 「嘘でしょ!?」

 このいけすかない男と、バディを組む?!
 思いっきり眉を顰めると、彼は大袈裟にため息をついた。
 
「残念ながら嘘ちゃう。僕やって好き好んでお荷物を背負いたないわ」
「誰がお荷物ですって!?」
「他に誰が? 一反木綿なんて雑魚にやられてよってミイラですか〜っちゅうねん。ほんまに自分、東部のエース? 僕やったらあんなん五秒で祓えるわ」

 怒涛の勢いで繰り出されるチクチク言葉……もはやただの罵倒に圧倒されそうになる。
 でも、こっちにだって言い分はあった。
 
「あのねぇ、私だって祓うだけなら三秒も要らないし! ”浄化”しようとしてたのに、邪魔したのはそっちでしょ!」

 言い返すと、緋暮はぽかんと口を開いた。
 
「……は、浄化ァ? まさか、一反木綿を浄化しようとしてたん?」
「何よ、悪い?」

 彼はパチパチとまばたきする。

「えらい妖力を食う非効率の極みの、あの浄化術?」
「……」
 
「長ったらしい呪文唱えてる間にこっちが襲われるでお馴染みの、あの浄化術?」
「……」

「とっくに廃れた古の、あの浄化術?」
「……っ! そう!」

 散々な言われようだけど、これが多くの陰陽師の共通認識。

 ”浄化”。
 もはや誰も使わない、使えない。古くて非効率的な術だって。

「現代で浄化なんて聞いたことあらへん、何でそんな時代遅れの術を……」
「それはっ!」
 
 陰陽師でも異端だってことは、分かっていた。
 それでも私が浄化術に拘るのには、理由がある。
 
「私は――あやかしたちと仲良くしたいの!」
「……ハァ?」

 緋暮の漆黒の瞳が、急に冷たい光を帯びる。
 背筋をひやりとしたものが撫でた。