あやしき恋と陰陽師!

 あやかしたちは戸惑いつつも静かに座っている。お利口さんだ。

「よ、よーし。はじめまーすっ! それじゃあ皆、自己紹介してくれるかなー?!」
 
 一番右に座っているのは、艶やかな毛並みの白い猫又。
 私が周くんと出会った日に初めて浄化した子だ。

「ウチは猫又のニャーコ。黒髪のキミは初めましてー、よろしくにゃー」

 ニャーコはピンクの肉球を振る。可愛い。

「雪女のおフユと申します……よろしくお願いしいたします」
「橋姫ですわ」

 お次は私と緋暮で浄化した、雪女に橋姫。
 橋姫は橋の間しか動けないため、ミニチュア橋模型に乗り移ってもらっている。

「妖狐のコンヤだ。よろしく頼む」

 そして深々とお辞儀をしたもう一人は、妖狐のコンヤ。
 実はむかーし、周くんとのバディ時代に浄化したあやかしなんだよね。
 
 周くんはホワイトボードの前に立った。
 
「本日はあやかし法第1条から第10条までの復習です」

 まぁ始まってさえしまえば、何とかなるはず。
 そんな気楽に考えていたのは、最初の五分くらいだった。

「芦ヶ谷さん、その第7条の解釈はいささか乱暴ではないでしょうか」
「西部では長年この伝統的解釈で進めてんねんけど? 保科くんには難しかったかなぁ?」

 講師役の二人が、勝手に議論を始めてしまったのだ。
 もはや置いてけぼりとなった受講者たちは、お喋りに花を咲かせ始めている。

「アンタは橋姫だっけにゃ? キレーな着物にゃ〜」
「ふ、ふんっ! 当然ですわ」

 コミュ力の高い猫又のニャーコは、早速橋姫に話しかけてくれている。ツンツンしてる橋姫だけど、ニャーコならすぐに仲良くなれるだろう。
 私はその横の、妖狐のコンヤと雪女のおフユに話しかけにいく。

「せっかく来てくれたのに、なんかごめんね」
「ふふ、これはこれで面白いですよ」
「問題ない。そういえば椿、熱護符の調子はどうだ?」
「バッチリだよ!」

 妖狐のコンヤに向かって、親指を立てる。
 実は、雪女戦で私が使ったカイロもとい"熱護符"は、コンヤの狐火を借りて作ったオリジナル護符なんだ!
 
「わぁ……! 椿さん、私とも何か作りませんか? “雪護符”、とか」
「雪護符! 良いね良いね、作ろう!」

 ああでもない、こうでもないと新作護符のアイデアを話し合う。男子はともかく、これはこれで楽しい時間になったのだった。