頭の中が真っ白になって、言葉が出てこない。指先が震え、杖がゴトリと橋の上に落ちる。
その時、視界の端で何かが動いた。
「何やねんその言い草」
緋暮が、刀の切先を橋姫の喉元に突きつけたのだ。
「僕は祓ったっても良かった。お前は椿ちゃんに感謝するべきやと思うけど?」
「緋暮……」
私を庇ってくれてるの?
あれだけ浄化なんて信じられない、アホやってずっと言ってたのに?
突きつけられた剣先に一瞬怯んだ様子を見せた橋姫が、キッと彼を睨みつける。
「煩い! 橋の上から逃れられないわたくしは、誰かを好きになるたび恋破れてきた! 何十年も何百年も、もう辛いの……!」
そして彼女の目が、私にも向けられる。橋姫の瞳から、ぼろぼろと大粒の涙が溢れた。
「――いっそ恋心ごと、わたくしを祓ってくれたら良かったのに!」
悲痛な叫び。
だけど、潤んだ瞳の中には救いを求めるかのような一筋の光が差し込んでいた。
それに気づいた瞬間、さっきまでの震えが止まる。
一歩一歩、橋姫のもとへ歩み寄る。
「恋する気持ちは、祓えないよ」
私はしゃがみ込んで、手を差し伸べた。
その時、視界の端で何かが動いた。
「何やねんその言い草」
緋暮が、刀の切先を橋姫の喉元に突きつけたのだ。
「僕は祓ったっても良かった。お前は椿ちゃんに感謝するべきやと思うけど?」
「緋暮……」
私を庇ってくれてるの?
あれだけ浄化なんて信じられない、アホやってずっと言ってたのに?
突きつけられた剣先に一瞬怯んだ様子を見せた橋姫が、キッと彼を睨みつける。
「煩い! 橋の上から逃れられないわたくしは、誰かを好きになるたび恋破れてきた! 何十年も何百年も、もう辛いの……!」
そして彼女の目が、私にも向けられる。橋姫の瞳から、ぼろぼろと大粒の涙が溢れた。
「――いっそ恋心ごと、わたくしを祓ってくれたら良かったのに!」
悲痛な叫び。
だけど、潤んだ瞳の中には救いを求めるかのような一筋の光が差し込んでいた。
それに気づいた瞬間、さっきまでの震えが止まる。
一歩一歩、橋姫のもとへ歩み寄る。
「恋する気持ちは、祓えないよ」
私はしゃがみ込んで、手を差し伸べた。
