あやしき恋と陰陽師!

「もうフリはいいから! あのね、そもそもこんな性悪男と付き合うわけないでしょ!」

 橋姫に向かって、緋暮を指差す。
 
「好き放題言うてくれるやん? 僕やってこんなじゃじゃ馬女は願い下げやわ!」
「何ですって!?」

 橋姫は、ポカンとした顔でこっちを見ている。

「もうええ、はよ祓うで」
「ちょっ、橋姫見てよ、大人しくなったじゃん! 浄化のチャンスなんだってば!」
「雪女のときは熱護符の借りを返しただけや! 今回はそうは行かへん」

『もシかしテ……』

 睨み合う視界の端で、着物がフルフルと揺れる。
 
『ケンカップル、ってやツ? わタくしの前デ、イチャイチャしテ……」
「いや違う違う」
「全くの誤解なんやけど」
『二人まとめテ、沈めテあげル!』

 橋姫の内心を映すかのごとく、川が荒ぶり出した。
 もう、こうなったら仕方ない。

「出でよ、斬刻刀!」
「出でよ、錫妖杖!」

 武器を召喚すると、彼女は橋を大きく揺らしながら、川から出た木片を次々と投げつけ始めた。

「お願い緋暮、手伝ってよ!」

 叫びながら、杖と刀で襲いかかる木片を捌いていく。

「何でそんなに浄化に拘るん? 普通に祓う方が簡単やし確実やろ!」
「橋姫の浄化、手伝ってくれたら話すっ!」
 
 私の目を見た緋暮は、器用にもノールックで木片を躱しながら、大きく溜息をついた。

「ハァ、ほんま……どえらい我儘女とバディ組まされてしもたわ」