あやしき恋と陰陽師!

 浄化された雪女は、呆気に取られた顔をしていた。

「私、一体何を」
「雪女! 戻って良かったぁ」

 その後は雪女にもう悪さをしないことを約束させ、連絡用の式神を渡す。

「おまたせ! 帰ろっか」
「……ん。出てこい、シロ」

 ――ピンッ!
 緋暮が左耳の白蛇のピアスを指で弾くとなんと、描かれた蛇がピアスから這い出て来た!
 白いその蛇は、むくむくと大きくなっていく。その姿は――。

「あー! あの時の!」
 
 一反木綿を祓ったときに、緋暮が乗ってた大きな白蛇だった。
 
「もしかして、契約あやかし?!」
「そ。椿ちゃんも乗ったら?」
「ありが……えっ?」

 彼が蛇に飛び乗った時、風圧で隠された右耳が一瞬、見えてしまった。
 千切れかけたみたいな、引き攣れた傷。

「ちょっ、その耳」

 彼はバッと右耳を押さえる。

「まさかさっき、雪女に切られたの?」
「ちゃう。今回の仕事には関係あらへん」
「でも、病院に……」
「行かへん。古傷やし」

 それ以上話したくない、って感じだった。
 この間も蛇はタクシーみたいに、高速で私たちを運んでくれている。

「ねぇ。この蛇タクシー、何で行きに使わなかったの?」
「……蛇は変温動物。寒いのが苦手やから」

 変温動物って、外の気温で体温が変わりやすい生き物のことだっけ?
 緋暮は、シロの肌を撫でている。

 ──でも、なんだぁ。結構契約あやかし想いじゃん、ちょっと見直した。
 それにしても。
 
「寒いのがダメって、緋暮と一緒だね」

 そう言うと一瞬、彼の肩がピクリと動いた。

「……たまたまや」