あやしき恋と陰陽師!

 緋暮は舌打ちした。その視線は私の、熱護符に向けられている。

「……一回だけや。これでカイロの借りはチャラやからな!」

 それだけ言うと彼は再び駆け出し、雪女のところまで一気に突っ切った。
 一閃、光が走る。

「【――天網恢恢(てんもうかいかい)()にして漏らさず。刻む刹那(せつな)永久(とこしえ)に」

 その瞬間、雪女がピタリと動きを止める。それは、一反木綿の時にも聞いた呪文だった。

「今や!」

 私は浄化のための護符――浄護符を取り出し、雪女に向かって思い切り突いた。
 
「【我は(なんじ)(かえ)す者、揺蕩(たゆた)(めぐ)現世(うつしよ)の花。罪を流すは慈悲(じひ)の雨。(ゆる)しの灯火(ともしび)、いま宿せ――】!」

 ――ぶわぁっ!
 吹き荒ぶ氷が、光の粒に変わっていく。
 やがて粒が消えると、周囲は完全に元に戻っていた。

「信じられへん、ほんまに浄化を……」

 緋暮がぽつりと呟くのが聞こえて、くすぐったいような、誇らしいような気持ちになる。私は後ろでガッツポーズする。
 
「浄化完了!」